ガードドッグ向きの犬とは

犬というものは、（なんだか危険だ）と思ったら真っ先に飛び出して、飼い主を守ってくれようとします。玄関先に誰かが来たら、いち早く察して、あやしい人ではないか確認しようとします。体の大きさや、力の強さに関係なくそうなのです。小柄で勇敢な犬はたくさんいますよね。犬はみな生まれながらのガードドッグです。でも護衛や警備を仕事にしている、プロのガードドッグがいるのです。ガードドッグになる犬たちは、警察犬訓練所で、厳しい服従訓練や警戒訓練を受けます。警戒訓練はよくドラマなどで見ることがありますね。左腕を分厚い布のようなプロテクターをつけた仮想犯人が鞭を振り回して犬を脅すのですが、犬は少しもひるむことなく、勇敢にも命令通りに犯人に立ち向かっていくのです。そして犯人のプロテクターの手に咬みついたら、どんなに振り回されても決して離さない、犬の執念を感じる迫力あるシーンでした。ドラマに出ていた犬は、ジャーマン・シェパードだったと思います。非常に勇敢で忠実。世界大戦中は人間とともに前線に出て活躍し、国籍関係なく兵士たちからも敬意を表されたとのことです。

ガードドッグに必要な資質とは

遠藤黄壽著『エアデールテリア物語』によると、この警戒訓練は防衛訓練とも言い、「作業犬に必要な、勇気だけでなく、激しいほど旺盛な物品に対する意欲と明朗快活な人好きのする明るい性格、そして高度な服従心がバランスよく備わっていなければ正しく行うことはできない」プロテクターというものに対する意欲がまず必要で、犯人に対して少しでも怖いという意識があると、咬むよりもまず逃げ出してしまうそうなのです。もちろん犯人は噛まれっぱなしというわけにはいかず、、防衛訓練に大切なのは「止め」のコマンドに対する反応です。興奮状態であっても、コマンドを着実に実行する冷静さが必要なのです。ガードドッグは、負けん気と警戒心、それに格闘能力が高ければいい、というわけではないのですね。ちなみに、著者の遠藤氏はこの本の中にあるように、ご自分のエアデール・テリアに訓練を施して、イノシシ猟を単独で成功させたそうです。テリアの王様、エアデール・テリアも警察犬として活躍しているように、ガードドッグにふさわしい犬種ですね。

ガードドッグに向く犬たち

ガードドッグといえば、いわずとしれたド―ベルマン。ド―ベルマンは、護身用番犬、警察犬、軍用犬としての俊敏さと、家庭犬としての従順さを兼ね備えた万能犬です。それからアメリカン・スタッフォードシャー・テリア、ピット・ブル・テリアとも呼ばれます。勇敢で力強い闘犬用の犬で、飼い主には従順ですが、闘争心が強く、保護本能が発達しているので、飼い主の危機を感じたらきっと守ろうとするに違いありません。ロット・ワイラー、大胆で勇気があり、飼い主には従順、大型のものは牛を倒すほど力が強いそうですよ。警察犬としても使われています。グレート・デーン、なんといっても、大きさに圧倒されます。うなっただけでも泥棒は逃げていきそう。温和なイメージが強い大型犬ですが、本質的には気迫に富み、番犬や護衛犬として頼りになります。グレート・ピレニーズも体重が50～60キロある大型犬です。オオカミから羊を守ってきた牧畜犬です。侵入者には断固とした態度で臨むそうです。番犬として最適ですよ。

まとめ

日本にも大型犬の秋田犬がいます。普段は静かな秋田犬が、いざといなれば、どれほど勇敢勇猛になることか。しかし、ご自分の犬がいくら勇敢で強くても、飼い主さんは見よう見まねで防衛訓練などしてはダメですよ。ただ強いだけではガードドッグになれません。ガードドッグには徹底した厳しい服従訓練が必要です。愛犬を「危険な犬」にはしないであげてくださいね。