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セントバーナードの首にかかっている樽って何のため?

2019.09.29 2024.03.22

アニメなどで首に小さな樽をさげているセントバーナードを見たことがないでしょうか。あれはおしゃれでもなければ、大好きなおやつが入っているわけでもありません。
実は人の命を救うための大切なものが入っているのです。

セントバーナードは山岳救助犬だった

セントバーナードはかつて、スイスとイタリアをつなぐグラン・サン・ベルナール峠で救助犬として活躍していました。グラン・サン・ベルナール峠は重要な交通路でしたが、冬になると積雪が多く、気温も非常に低くなることから馬が使えず、徒歩で山越えをしなければいけなかったようです。しかし、そんな過酷な気象条件の中を徒歩で移動していれば、当然遭難する人が出てきます。そこで救助犬として働いていたのがグラン・サン・ベルナール峠の救護所で飼われていたセントバーナードです。
スイスが原産国なので寒さに強いことはもちろんですが雪の中を歩く体力と力強さを兼ね備えているので救助犬として最適だったのです。

首にかかっている樽の中身について

遭難した人を救助する際、セントバーナードの首には小さな樽がかかっていました。この樽の中身は、食べ物でも、薬でも、通信機でもなく、ラム酒やブランデーといったアルコール度数の高いお酒です。お酒を飲んだことがある人はわかると思いますが、アルコールによって血行が良くなり、体がポカポカしてきます。極寒の峠で遭難した人の命を救うためには一刻も早く体温を上昇させることなので、樽の中にお酒を入れるようになったそうです。

今も救助犬として働いているの?

現在救助犬として働いているセントバーナードはあまりいないようです。
多くの遭難者の命を救った功績があるにも関わらず、救助犬としての需要が減ってしまった理由は、体型や被毛の変化にあります。
今のセントバーナードは、体高(地面から背中までの高さ)65cm以上、体重は50~90kgの超大型犬で、被毛も長めですが、山岳救助犬として働いていたときは、一回り体が小さく、短毛でした。
こうした変化の背景には、セントバーナードの減少がありました。
セントバーナードは限られた個体で近親繁殖を繰り返していたことから遺伝性疾患にかかる個体が増え、さらに救助の際に命を落とす数が多かったことから、一時期犬種の存続が危ぶまれるほど減少してしまいました。そこで、ラブラドールレトリバーの先祖とされているニューファンドランドと交配し、現在の姿になったのですが、被毛が長いと体に雪が付きやすく、体重が重いと救助用ヘリコプターからの上げ下げが大変になったので、次第に救助犬として起用されなくなりました。

その性格から新たな需要も

みなさんはセラピードッグというものを聞いたことがあるでしょうか。
セラピードッグとは、高齢者や障がいを持つ方、病気の方などの心と体の機能回復をサポートする犬のことです。セラピードッグが寄り添ってくれるだけで、リラックスできたり、リハビリや治療に対して前向きなれたりする効果があります。

どの犬も人を癒してくれる素質はありますが、中でも非常に温和で、辛抱強い性格をしているセントバーナードはセラピードッグにぴったりの存在です。
そのため、実際にセラピードッグとして活躍しているセントバーナードが多くいます。

体が大きいので、人によっては怖い印象を持っている方もいるかもしれませんが、人に対しても他の動物に対してもとても優しい子です。

まとめ

樽の中に入っていたのは、極寒の地で遭難した人の命をつなぐお酒でした。寒さに強く、身体能力が高いセントバーナードのおかげで救われた命は2000人を超えると言われています。
体型や被毛の変化に伴って現在では救助犬として働くことはあまりなくなりましたが、持ち前の優しさと辛抱強さでセラピードッグとして活躍している子もいます。

一緒にいるだけで安心感を得られるような不思議な魅力を持っている犬種ですので、大型犬の飼育を考えている人にとってはおすすめです。

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この記事の監修者

犬の家&猫の里 編集部

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