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老犬(シニア犬)は何歳から?介護の基本知識について
犬は人間よりも早いスピードで年をとります。老犬(シニア犬)になれば、若い頃とは違ったケアやサポートが必要です。老犬になった愛犬に、どのような介護をすれば良いのでしょうか。
この記事では、老犬と暮らす際に必要な介護の基本知識について、解説していきます。シニア期に見られる変化や、飼い主さんができることをしっかり押さえておきましょう。
老犬(シニア犬)の基準は何歳から?
一般的に7~8歳を過ぎると、老犬の仲間入りとなります。
小型・中型犬は1歳で成犬(人間で20歳程度)になり、その後は、1年ごとに人間の4年分年をとっていきます。大型犬は2歳で成犬になり、その後は小型・中型犬よりも成長するスピードが速く、1年が人間の7年に換算されます。
もちろん年を重ねて、シニア期に入ったとしても、まだまだ元気な子もいます。身体の大きさや犬種、飼育環境によっても、老化のペースは異なります。
シニアになったときの変化
犬も急にシニアになるわけではなく、少しずつ年を取っていきます。愛犬に次のような様子が見られたら、シニア期に入ったサインです。
寝ていることが多くなる
シニアになると、1日の大半を寝て過ごすことが多くなります。体力がなくなるため、活動量も減っていきます。
また若い頃は、物音や声に反応してすぐに起きていたかもしれません。老犬の場合、飼い主さんが声をかけて起こしても、なかなか反応しないことがあります。
昼間も活動せず寝ているため、昼夜逆転してしまい、夜泣きをすることもしばしば起こります。
散歩のペースが遅くなる
散歩のペースが遅くなるのも、シニアに見られる兆候です。老化が進んで身体が衰えてくると、若い頃のように元気に歩いたり、走ったりできなくなります。
また筋力が低下することで、階段の上り下りを躊躇するようになります。小さな段差も老犬の足腰には、大きな負担がかかるのです。
食事量が減ってくる
活動量が減る分、食事量も減ってきます。食欲も落ちて、食べたり食べなかったりといった、食べムラが見られることも少なくありません。
食事を摂りたがらない場合は、歯や口にトラブルを抱えているケースもあります。愛犬の口の中をチェックし、異変があれば動物病院で診察を受けましょう。
口臭がきつくなる
シニアになると、口臭がきつくなることがあります。これは老化に伴って、唾液の分泌量が減るからです。口臭の原因が、歯周病や口内炎である場合は、治療が必要になります。
毛づやが悪くなる
毛づやが悪くなるのも、シニア期によく見られる特徴です。だんだん皮膚の代謝が悪くなってくることが原因で、フケが多くなったり、皮膚の張りがなくなったりします。
肌トラブルを起こしやすくなり、イボができやすくなるといった皮膚の変化が見られることも。
目が白く濁って見える
目の中心が白っぽく見えるのも、シニアに見られる変化で、核硬化症という老化現象のひとつです。老犬は白内障などの目の病気にかかるリスクが高まります。
シニアになったときの食事のケア
シニアになったら、飼い主さんによる適切な食事ケアが必要です。愛犬の負担を軽減させるために、サポートしてあげてください。
フードボウルの位置を高くする
食事のときに下を向き続けることは、首に負担がかかる為、フードボウルの位置を高くするのが効果的です。
またシニアになると、フードを気管や喉に詰まらせることもあるため、注意が必要です。フードボウルの置き場を高くすると、自然に頭の位置が高くなり、フードが飲み込みやすくなります。高さのあるフードボウルやお皿の下に台を置くなど、愛犬に合わせた高さに調節してあげてください。できるだけ楽な姿勢で食事が摂れるようにしてあげましょう。
柔らかく消化の良いものを与える
老犬は、消化機能や噛む力が低下するため、柔らかく消化の良いものを与えてください。
ドライフードは、人肌程度のぬるま湯でふやかすと、食べやすく、消化しやすいです。温めることで香りが立つため、食欲がアップし、乾いたフードでは食べない子でも、食べてくれるかもしれません。
味覚や嗅覚が衰えるため、茹でたささみを加えるなど、嗜好性の高いご飯を混ぜて工夫してみるのもおすすめです。市販のウェットフードや缶詰を利用しても良いでしょう。
水分補給させる
老犬は、喉の渇きに鈍感になるため、飼い主さんが積極的に水分を補給させてください。
水飲み場に行くことも億劫がる子もいます。食べたものを胃に流すためにも、食事と合わせて、しっかり水分も摂るように促しましょう。
スープやミルク、犬猫用ハイポトニック飲料(吸収率の高い浸透圧と成分に調整された経口補水液)などを利用してみても良いかもしれません。
飼い主が気を付けてあげること
老犬になると、若い頃にしていたお世話とは意識するポイントが変わってきます。シニア期に合わせた対応していきましょう。
オーラルケアを習慣化させる
シニア期は、オーラルケアを習慣化も大切なポイントです。お口の健康を保つことは、体の健康にも繋がります。
歯周病により痛みや炎症があると、食事量が減ってしまうことがあります。犬は歯垢が歯石に変わるスピードが速く、お口のトラブルを抱えやすいため、注意が必要です。
歯周病などを予防するためにも、歯磨き用品や歯磨き効果のあるおやつを活用して、歯磨き習慣を作りましょう。
スキンシップをとってあげる
シニアになっても、飼い主さんとのスキンシップは欠かせません。やんちゃに遊び回ることや全身でじゃれつくことは少なくなっても、やさしく撫でたり、ブラッシングしたり、ゆったりとしたスキンシップを楽しみましょう。愛犬とスキンシップを取ることで、体の異変や体型の変化に気づきやすくなります。
目や耳の機能が低下している老犬とスキンシップを取るときは、背後から急に触るのは避けてください。やさしく声を掛けた上で触れば、愛犬も安心して身を委ねられます。
生活環境を見直す
老犬は、徐々に視力が低下し、周囲が見えづらくなってきます。
愛犬が生活するスペースにある家具の角には、ぶつかってケガをしないように、クッションガードをつけておきましょう。関節の痛みや足腰の筋力低下から、ソファやベッドの段差が負担になることがあります。負担を軽減するために、段差が小さい階段やスロープをつけてあげてください。
定期的な健康診断
シニア期になると、体調を崩しやすく、病気にもかかりやすくなります。半年に1度は健康診断を受けるようにしましょう。
半年に1度の頻度は、人間でいうと2年に1度のペースに当たります。動物病院によって内容が異なるため、愛犬の年齢や健康状態に合ったプランを相談してみてください。
老犬の最期に訪れる症状
老化が進んで体が弱ってくると、末期症状が現れます。次のような症状が見られたら、最期のときが近いと考えて良いでしょう。
食欲がなくなる
末期症状のひとつとして、食事や水を受け付けなくなることがあげられます。食事は生きるために重要な行為です。シニア犬の食欲が酷く低下した場合、体調の悪化が著しくなり、命を保つことも難しくなります。
嘔吐や下痢が酷くなる
体調の悪化や感染症、老衰などにより、消化管の状態が悪化すると、嘔吐や下痢が酷くなります。体力がほとんど残されていない状態で、このような症状が出ると、急激な身体の衰えにより、死に至ることもあります。
体温が低下する
シニアになると、体温調節が上手くいかなくなります。体温はエネルギー代謝を示すバロメーターです。老犬は、運動が不足し、筋肉の量が減って代謝が下がることで、低体温になる傾向があります。末期になると、さらに体温が低下してきます。
発作を起こす
死が近づくと、けいれんや震え、虚脱、失神、失禁などの発作症状を起こすことがあります。老衰による心疾患による不整脈、腎機能の低下による尿毒症、敗血症などの感染性心疾患によるもので、体力が非常に低下している状態です。
まとめ
大きさや犬種、飼育環境にもよりますが、犬は7~8歳を過ぎると、シニア期に入ります。
老犬になると、睡眠、散歩、食事や口臭、毛づやなどに変化が見られる場合が多いです。
シニア期は消化機能や嗅覚などが衰えることで、食事量が減ります。食べることは、身体の健康にも影響があるため、食事のケアが重要です。
また飼い主さんは、オーラルケアの習慣やスキンシップ、環境の見直し、定期的な健康診断を受けるなどの点に気を配りましょう。
愛犬は、共に暮らす家族の一員であり、いつまでも元気で毎日を楽しく過ごしてもらいたいものですよね。犬の老化について正しい知識を持ち、年齢を重ねた愛犬にとっても飼い主さんにとっても、より生活を充実したものにしましょう。


犬の家&猫の里 編集部
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