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犬の狼爪(ろうそう)とは?狼爪の切除方法やケアの仕方について解説
犬についている狼爪(ろうそう)をご存じでしょうか。狼爪は、前足や後ろ足の内側に生えているもので、野生時代の名残とされています。どの犬種も前足には必ずついているものですが、切除される子も多いです。この記事では、狼爪の役割や犬種標準、切除方法やケアの仕方について、解説していきます。
犬の狼爪(ろうそう)とは?
狼爪とは、犬の足の裏よりも少し上の位置にある、人間だと親指にあたる部分のことです。足裏の肉球を見ると、地面に付いている指は4本ですが、実は5本の指を持っています。
もともと狼爪にはしっかりとした役割がありましたが、長い年月をかけて進化していく過程で、使われなくなっていきました。狼爪を子犬のうちに切除するブリーダーも多いですが、切除については賛否両論あり、認められていない国もあります。
狼爪の役割
食事や遊びの際に役立てているのが、前足の狼爪です。食べ物やおもちゃをかじるときに、狼爪で支えることができます。また、頭や顔がかゆいときは、器用に前足の狼爪を使って搔いているようです。
一方の後ろ足の狼爪は、山岳地帯で滑りやすくゴツゴツした岩場を上り下りする際に、必要だったとされています。マウントドッグ系の犬は、重く大きな体でバランスを取りながら歩くため、後ろ足に負担がかかります。その後ろ足を補助する役目が狼爪にあったようです。
狼爪がある犬とない犬の違い
前足の狼爪はどの犬種にもついています。ですが、後ろ肢の狼爪に関しては、生まれつきない子もおり、個体差があります。また、ついていたとしても切除されることが多いため、飼い主さんの元にやってくる犬の多くは、狼爪がついていません。
生まれてすぐに切除される犬もいる
狼爪が見当たらない場合は、ブリーダーにより切除された可能性があります。生まれてすぐの犬は、ブリーダーの判断(犬種標準に合わせることを選択)により、切除されるケースが多いです。狼爪の切除は、皮膚や爪が柔らかく、手術がしやすい子犬のうちに行われます。
JKC(またはFCI)とAKCの犬種標準
JKCとAKCによって、犬種標準(スタンダード)は異なります。以下の表は、犬種ごとにそれぞれの犬種標準をまとめたものです。
犬種 | AKC | JKC |
|---|---|---|
トイプードル | 前足は切除可 | 記載なし |
パグ | 後ろ足は切除の必要あり | 前足は除去不可 |
ボーダーコリー | 前と後足は切除可 | 記載なし |
ジャーマンシェパード | 後ろ足は除去の必要あり | 記載なし(日本警察犬協会では、誕生した日に除去必須) |
シベリアンハスキー | 後ろ足は除去の必要あり | 前足は除去、後ろ足にある場合は除去必須 |
シェットランドシープドッグ | 後ろ足は除去の必要あり | 記載なし |
ヨークシャーテリア | 後ろ足は除去の必要あり、前足は除去可 | 記載なし |
ウェルシュコーギーカーディガン | 前も後ろも除去の必要あり | 全ての切除が必須 |
ウェルシュコーギーペンブローク | 後ろ足は除去の必要あり | 記載なし |
ポメラニアン | 前も後ろも除去可 | 記載なし |
チワワ | 前も後ろも除去可 | 後足は推奨しない |
フレンチブルドッグ | 前足は除去可 | 生まれつき後肢はない |
ミニチュアピンシャ― | 前も後ろも除去の必要あり | 記載なし |
ゴールデンレトリバー | 前足は除去可 | 記載なし |
柴犬 | 任意 | 記載なし |
シーズー | 前も後ろも除去可 | 記載なし |
残すことをスタンダートとしている犬種
狼爪を残すことをスタンダードにしている犬種もいます。
山岳地帯の牧羊犬として家畜や家人を守り、重い荷物を運ぶ犬種、遭難救助犬として活躍していた犬種は、狼爪があることが犬種標準(スタンダード)とされています。斜面や岩場、雪道など険しい場所を歩く際に、狼爪を使用するためです。
グレートピレニーズは、ヨーロッパでは「ピレ二アン・マウンテン・ドッグ」と呼ばれており、スペインとフランスの国境に連なるピレネー山脈で牧羊犬や番犬として飼育されていました。2本のしっかりした狼爪が後ろ足にあり、両前足には1本または2本の狼爪があります。
ブリアードは牧羊犬や護畜犬として活躍していた犬種です。後ろ足にある2本の狼爪の保持が求められています。狼爪は親指を形成し、比較的足に近いところに位置しています。
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狼爪を切除した方がいい場合
愛犬に何らかのリスクがある場合は、獣医師さんと相談の上、切除を検討しましょう。
ですが、基本的に狼爪は犬にとって、有害なものではありません。切除するには手術が必要になるため、愛犬に痛みやストレスを与えます。それゆえ、安易な考えで、切除手術を行うことはおすすめしません。
狼爪によるリスク
普段使われない狼爪はどんどん伸びてきます。室内で飼育する際は、毛足の長いカーペットや毛布などの繊維に爪をひっかけやすいです。爪が裂けたり、折れたりして、ケガの原因になるだけでなく、犬自身や人を傷つけてしまう恐れがあります。思わぬ事故や怪我を予防するためにも、定期的に爪切りが必要です。
狼爪を痛がった時
狼爪を痛がるときは、爪が伸びすぎているか、適切なケアができていないのかもしれません。痛がらなくても、狼爪がぶらぶらして取れそうになっている場合も要注意です。速やかに動物病院へ連れて行ってください。
狼爪のケアの仕方
伸びすぎると折れやすくなったり、巻き爪になったりする狼爪は、こまめな爪切りなどのケアが必要です。爪切りの頻度は月に1度を目安にしましょう。
狼爪のケアは、普段の爪切りと同じように行います。爪切りに使うのは、ハサミよりもギロチンタイプの方が使いやすく、おすすめです。万が一、出血した際に備えて、ガーゼやハンカチ、止血剤があると良いでしょう。
爪を切る際は、血管がある部分とない部分の境目、血管の手前でカットします。長さには少し余裕を残すようにしてください。爪切りのあとは、爪やすりで形を整えて、角を取ってあげるとケガをする心配も少ないです。
まとめ
狼爪は前足や後ろ足の内側に生えており、人間でいうと親指に当たります。野生時代の名残ですが、現在はあまり使われていない部分です。
狼爪がないのは生まれつきか、切除されたかのどちらかです。狼爪による痛みなどのリスクがある場合は、切除手術を行うこともできます。ですが、愛犬への負担が大きいため、基本的にあまりおすすめしません。
また、狼爪自体は害があるものではありませんが、怪我の原因になることがあります。放っておくと伸びてくるため、爪切りなどのこまめなお手入れが必要です。
狼爪は、つい忘れてしまいがちな部位ですが、怪我や事故を防ぐためにも、適切なケアをしてあげてくださいね。


犬の家&猫の里 編集部
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