左右の目の色が異なる「オッドアイ」。神秘的な見た目ではありますが、体質や健康に影響はないのでしょうか？

オッドアイとは

オッドアイというのは別名「虹彩異色症」とも呼ばれ、角膜と水晶体の間に存在する虹彩の色が左右で異なっていたり、片方の虹彩が変色していたりする状態を指します。
人間でも見られますが、発症率は犬や猫の方が高いです。

オッドアイには先天性のものと後天性のものがあるのですが、先天性の場合は、メラニン分布を決定する遺伝子の突然変異が原因と言われています。先ほど、人間よりも犬や猫の方が発症率が高いと言いましたが、それは近親交配が行われていたためです。特に純血種の場合、限られた地域の中で、同じ品種同士を繰り返し交配させるので、変異した遺伝子が固定されてしまい、それが親から子へとどんどん引き継がれてしまうのです。

もう一つ、先天性のオッドアイの原因として色素形成異常が考えられます。母犬の胎内にいるときに正常に色素が形成されないケースがあります。この場合、体のどこに色素異常が出てもおかしくないのですが、たまたま虹彩の色に現れた場合はオッドアイとして生まれてきます。

後天性の場合は外傷や病気が原因で発症することが多いです。犬の場合は散歩の際に草むらで知らない間に眼球を傷つけてしまい、そのときに虹彩も損傷して変色することがあります。
また、緑内障も原因の一つと考えられています。緑内障とは、房水（目の中を循環する液体）の流れが阻害され、眼圧が高くなってしまう病気です。

オッドアイは体質や健康に影響があるの？

色素形成異常によってオッドアイになった場合、視力や聴力など感覚器官に障害がある可能性が高いです。というのも、犬の場合は神経細胞の生成が色素と大きく関わっており、色素が極端に少ないと目や耳の形成に影響してしまうからです。
また、オッドアイの場合、目の色素が少ないことから紫外線や人工光の影響を強く受けてしまいます。散歩をする際は日中を避ける、犬用のサングラスをかけてあげる、家の中でも強いライトは使用しないなど配慮してあげましょう。

シベリアンハスキーの場合は健康上問題はない

犬のオッドアイというと、シベリアンハスキーを思い浮かべる方も多いと思います。シベリアンハスキーは日照時間が極端に短いシベリアが原産の犬種です。太陽にあたる時間が少なく、もともと目のメラニン色素量が少ないので、青や水色の目をした個体が多いのですが、ペットとしてシベリア以外のところでも飼育されるようになると、目を守るために色が茶色などに変化するようです。特に病気や外傷によって左右の目の色が異なるわけではなく、環境の変化に適応するためのものです。シベリアンハスキーの場合は体質や健康に問題がないので、オッドアイとは呼ばず、「バイアイ」と区別することもあるようです。

こうした理由から、血統書などを発行しているジャパンケネルクラブでは、シベリアンハスキーの場合、左右の目の色が違う状態が標準であると認めています。

オッドアイが生まれやすい犬種

シベリアンハスキー以外にもボーダーコリーやダルメシアンなどはオッドアイの個体が生まれやすいと言われています。運が良ければペットショップなどで出会える可能性があります。
ただ、シベリアンハスキー以外の犬種でオッドアイを持っている場合は、先天性の病気の可能性が高いので、購入を考えている方は注意が必要です。

まとめ

オッドアイは美しい見た目をしていることから、飼いたいと考えている方も多いと思います。ただ、オッドアイは、遺伝子の突然変異や色素形成異常などによって生まれてくるケースが多いです。色素形成異常が原因の場合は視聴覚に障がいがある可能性が高いので、その点を理解しておきましょう。
どうしてもオッドアイの子がいい、ということであれば、シベリアンハスキーがおすすめです。シベリアンハスキーなら健康上特に問題はないので、安心して飼育することができます。