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犬の呼吸が荒い場合の原因と対策方法について
愛犬がハアハアと荒い息遣いをしていると、息苦しいのではないかと心配になりますよね。場合によっては、病気のサインである可能性もあるため、注意が必要です。
この記事では、犬の呼吸が荒くなる理由と注意が必要な場合の原因と症状、対策について、解説していきます。原因と症状を知ることで、愛犬の状態を正しく理解しましょう。
パンティングとは?
パンティングとは、上昇した体温を下げるために、口を開けて呼吸することをいいます。犬は汗腺が肉球にしかないため、汗をかいて体温を下げることができません。そのため、口でハアハア息をすることで、体内にこもった熱を逃がそうとしているのです。
犬の息が荒いのは普通?
犬の息が荒いのは、自然なことなのであまり心配はいりません。一般的に犬の呼吸数は、1分間に10~30回程度とされています。
安静時は口を閉じて鼻呼吸をしますが、活動時は口呼吸になることも。
体格や個体差があり、小型犬だと1分間で25回、大型犬で15回前後となっています。大型犬と比較して肺が小さい小型犬やいわゆる鼻ぺちゃ犬の短頭種は、呼吸数が多いのが特徴です。
犬のパンティングは、散歩や運動中だけでなく、嬉しいときや興奮したときにも見られ、自分自身を落ち着かせるために行う生理現象でもあります。特に短頭種の犬は、すぐに息が上がりやすく、口呼吸であることが多いです。
呼吸が荒くなる原因
では、犬の呼吸が荒くなる理由にはどのようなことが考えられるのでしょうか。
運動
犬に限ったことではありませんが、運動したあとは呼吸が速く、息が荒くなる傾向があります。酸素が消費した体に、体外からできるだけ早く酸素を補おうとするためです。散歩や運動時の行動の際には、水を多めに与える、息が上がっているようなら休憩をさせるなどして、呼吸を落ち着かせるようにさせましょう。
ストレス
犬は恐怖や緊張、不安といった精神的な要因により、息が荒くなることがあります。ストレスを感じると、交感神経が優位になることで、一時的に呼吸が速くなるのです。
ストレスによるパンティングでは、しきりにあくびをする、尻尾が後ろ足の間に隠れているなどといった様子も見られます。
ストレスの原因が解消されれば、正常に戻ることがほとんどです。精神的な要因となっている事柄を探って、解消してあげることが必要になります。
体温調節
犬は口を開けて舌を出すパンティングをすることで、体温の調節を行います。暑い時期や場所では体温が上がるため、ハアハアと呼吸が荒くなり、体温を下げようとするのです。
体温調節によるパンティングなら、日差しを避けた日陰に移動する、エアコンで室温を管理した場所で安静にしていれば、じきに落ち着いてきます。
病気
パンティングが酷く、長く続く場合は、病気のサインである可能性があります。呼吸器系や循環器系に何かしらの疾患を抱えているのかもしれません。その場合、息切れや呼吸困難を引き起こすことがあります。
愛犬の様子を見て、数分で落ち着きそうなら問題ありません。パンティングがおさまる様子がなく心配であれば、獣医師さんに診てもらいましょう。
注意が必要な原因
パンティングでも、注意が必要な原因があります。次のような場合は、重篤な状態に陥る危険もあるため、早急に動物病院へ連れていってください。
熱中症
夏場の暑い時期に犬は、口を大きく開けたまま苦しそうに速い呼吸をします。体温が上がってしまい、熱が上手く放散できずに、体温調節に支障をきたした状態になるからです。
熱中症の初期の段階では、苦しそうな呼吸や大量のよだれが出ます。状態が悪くなると、嘔吐や下痢、けいれんを起こすこともあります。重症化すると、意識がなくなり、ショック症状から死に至ることもあるので、早めの対処がポイントです。とにかくすぐに体を冷やし、水が飲める状態なら水を飲ませましょう。
犬は人のように汗で体温調節できないため、熱中症にかかりやすいです。特に短頭種や肥満犬は夏バテしやすいため、熱中症対策をしっかりしましょう。肥満犬はダイエットをさせるなどの対策をしてみてください。
病気
病気が原因のパンティングには次のようなものがあります。治療には費用がかかるため、万が一のときのために、ペット保険に入っておくと安心です。
フィラリア症
フィラリア症は、蚊が媒介する寄生虫によって発症する病気です。寄生虫は心臓や肺動脈に寄生し、初期は無症状ですが、次第に咳や息が荒くなるなどの症状が出始めます。
発症すると、動くことに負担を感じることが多いです。散歩中に休む、運動を嫌がるようになることが少なくありません。気づかずに放置して症状が進行すれば、命にもかかわるため、早めに治療する必要があります。
気管支炎
気管支炎はウイルスや寄生虫、ハウスダストが原因となり、気管に炎症が起こる疾患です。タバコなどの異物を誤飲することも原因となります。咳や食欲不振、元気がなくなるなどの症状が見られます。重症化すると、呼吸困難を起こすこともあるため、注意が必要です。
肺炎
肺炎は、肺の中にある肺胞という小さな袋やその周辺に炎症を起こす感染症です。多くがウイルスや細菌感染によるもので、咳や鼻水が止まらない、または咳が出ずに震えることもあります。重症化すると、呼吸困難を引き起こし、命の危険もあるため、早期対応が大切です。
心臓病
心臓病は高齢犬に多く見られる疾患です。咳が出る、息が荒い、運動をしたがらない、すぐに息切れするなどの症状が出ます。特に中高齢の小型犬に多い心臓病が、僧帽弁逆流症です。僧帽弁逆流症は、血液の逆流を防ぐ僧帽弁が変性し、うまく閉じなくなってしまうため、血液が逆流する病気です。悪化すると、肺水腫という非常に呼吸が苦しくなる状態を引き起こし、命に関わります。
心筋症
心筋は、血液を全身に送り出すポンプのような働きをしています。心筋症は、その心筋に異常が起こり、心臓の機能が低下する病気です。呼吸数が増えたり、息が荒くなったりします。
短頭種が特に注意が必要な病気
チワワやブルドッグ、ボストンテリアなどの短頭種が発症しやすい呼吸器系の疾患を総称して短頭種気道症候群といいます。具体的には次のような疾患があります。
軟口蓋過長症
軟口蓋過長症は、口の奥にある軟口蓋と呼ばれるヒダが長すぎる病気です。短頭種に限らず、高齢の小型犬にも見られます。
短頭種はもともと軟口蓋が長く、呼吸数が多い犬種です。空気の刺激を受けるため、余計にヒダが下がりやすくなり、気道を塞ぐことでいびきをかきます。呼吸が苦しそうなら、切除術が必要です。
鼻孔狭窄
鼻孔狭窄とは、短頭種に多く見られる疾患です。鼻の穴が狭くなっていて、空気の通りが悪く、わずかな運動や気温の上昇でもすぐに呼吸が苦しくなってしまいます。
呼吸数が増えると、強い陰圧により、喉や気道に炎症をきたします。さらに、粘膜が腫れて気道が狭くなり、呼吸がしづらくなる悪循環を作ってしまうのです。
早期なら、鼻孔を広げる切除術で改善できます。気になる場合は、獣医師さんに相談してみましょう。
気管虚脱
気管虚脱とは、気管が押しつぶされたように変形してしまう病気です。運動のあとや興奮しているときに、フガフガ、ヒューヒューといった鳴き声のような苦しそうな息遣いや乾いた咳をします。症状が軽い場合は、首輪で喉を圧迫しない、暑さを避ける生活をすることで、進行を抑えることができます。
注意が必要な症状
パンティングをしている愛犬が、次のような様子の場合は注意が必要です。
- ・パンティングがいつまでも治まらない。
- ・気温が低く、運動や興奮していない状態でのパンティング。
- ・いつもの呼吸よりも苦しそうな様子。
- ・パンティングと同時に震えがある。
- ・舌の色が紫や白っぽい色をしている。
- ・落ち着きがない。
まとめ
犬のパンティングは、自然なものであまり心配のいらないケースがほとんどです。まずは愛犬の興奮や不安な気持ちを落ち着かせるようにしてみてください。暑さなど環境による原因を解消することで、緩和できる場合も多いです。
ただし、いつまでもパンティングをしている、他の症状が見られるときは、病気のサインである可能性があります。特に短頭種は日常的に息が上がりやすい犬種で、呼吸器系の疾患にかかりやすいです。呼吸数や症状を観察し、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
普段の愛犬の様子を知っておけば、いざというときに飼い主さんも慌てずに対処できます。パンティングは症状によって、早期に治療が必要である場合もあるため、愛犬の変化を早めに察知し、適切に対応しましょう。
犬の家&猫の里 編集部
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