コラム・豆知識
注目のワンちゃん、ネコちゃん
犬の分離不安症とは?症状を見逃さないで対策方法を知りましょう
犬の分離不安症を知っていますか?心に不安や恐怖を抱えた犬がなる不安障害で、様々な問題行動に繋がる恐れがあります。
この記事では、犬の分離不安症について、症状や原因、対策について解説していきます。分離不安症と間違われやすい病気や、なりやすい犬の特徴についてもお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。
分離不安症とは?
犬の分離不安症とは、不安障害のひとつです。飼い主さんや家族の姿が見えないことに、強い不安や恐怖を感じた愛犬が、精神的に不安定になり、問題行動を起こす状態のことをいいます。
問題行動には、「破壊行動」や「問題排泄」などの外に向かう行動と、「自分の尻尾を噛む」や「自分の体を舐め続ける」等の内に向かう行動、「過剰吠え」の3つのパターンがあります。
分離不安症であるかどうかは、飼い主さんが離れてから10分経過したあとの行動で見極めることが可能です。分離不安が進むと、日常生活にも支障が生じるため、原因を探って適切な対策を講じる必要があります。
分離不安症の症状
ここでは、犬の分離不安症で見られる症状について見ていきます。
物を破壊する
犬の分離不安症の症状として見られるのが、破壊行動です。
部屋にある物を壊したり、物を散らかして部屋をぐちゃぐちゃにします。帰宅した飼い主さんが目にするのは、散らかり放題の部屋です。
場合によっては、物を壊すだけでなく、食いちぎって飲み込んでしまう恐れもあるため、注意が必要です。
排泄の失敗
いつもはトイレで問題なく排泄できていても、粗相をしてしまうことがあります。
帰宅した際に、玄関のマットや居間のラグなどが汚れていることで、気づくかもしれません。もしも粗相を発見したとしても、愛犬を強く叱らないようにしてください。
寂しさから、わざと飼い主さんが困るような行動をして、関心を引こうとしていることもあります。
また、排泄の失敗は病気が原因であることもあるため、体調などに変わった様子はないか、あわせて確認しましょう。
吠え続ける
飼い主さんが出かける際に、吠える子はいますが、数分もすれば泣き止む場合がほとんどです。しかし、分離不安症になっていると、飼い主さんが出かけたあとも、ずっと吠え続けてしまいます。
次第に声も枯れて、遠吠えのようになることも。飼い主さんがいないときに見られる行動なので、把握することが難しく、ご近所から様子を聞いて、気づかされることが多いです。
体の異変
分離不安症の場合、飼い主さんが外出から帰宅した後に愛犬の体に異変が見られることがあります。下痢や嘔吐などの体調不良が現れたり、舐めたり噛んだりする自傷行為により、皮膚に炎症を起こすといったことです。
出かける前後で、愛犬の体に異変が現れていないか、飼い主さんがチェックすることで分かります。
分離不安症の原因
なぜ犬は分離不安症になるのでしょうか。その原因を探っていきましょう。
環境の変化
環境の変化が分離不安症のきっかけになることがあります。
たとえば、家族に迎えられたばかりのとき、子供や同居ペットが増えた、リフォームや引っ越し、急に預けられたなどです。
環境が変わると、愛犬は不安を感じやすいものです。できるだけ愛犬の負担や不安を解消するよう、こまめに声掛けをしたり、気にかけてあげたりしてください。
過去の怖い経験
過去の怖い経験が原因で、分離不安症になっているのかもしれません。
ひとりで留守番をしているときに、強い恐怖を感じる出来事があると、「また同じ思いをするかもしれない」という不安な気持ちが沸きやすくなります。
この予測不安が、分離不安の症状が現れる要因となります。雷の大きな音や地震の揺れなどを体験した場合に見られ、急に症状が出ることが多いです。
怖い思いをした経験はトラウマになりやすく、分離不安症を起こす引き金になります。
甘やかし過ぎる
愛犬を甘やかしすぎると、飼い主さんへの依存心から分離不安症になることがあります。
愛犬に愛情を注ぐのは良いのですが、甘やかし過ぎ、構い過ぎは、飼い主さんへの依存傾向が強くなり良くありません。
飼い主さんの不在時に、ひとりで過ごすことに強い不安を感じた愛犬が、問題行動を起こす可能性があります。
退屈感や運動不足
分離不安症は、飼い主さんとのコミュニケーション不足により退屈を感じていたり、運動不足でエネルギーの発散が十分でないときにも見られます。
愛犬の性格にもよりますが、飼い主さんとのコミュニケーションや運動を好む子には、積極的に関わることが大切です。できるだけ不満や不安を解消し、心を満たしてあげましょう。
分離不安症の対策方法
愛犬を分離不安症にさせないためには、どのような対策をすれば良いのでしょうか。
程よい距離で接する
愛犬にあまり構い過ぎると、飼い主さんの不在時に不安感を抱きやすくなってしまいます。あまりベタベタせずに、程よい関係を保つことがポイントです。
飼い主さんがいつもゆったりと落ち着いた様子を見せていれば、愛犬も安心して過ごせます。
外出を不安に思わせない
飼い主さんが外出するときに、愛犬を興奮させないことが大切です。
外出時の愛犬への挨拶やアクションはできるだけ小さくしましょう。愛犬に留守番することを大げさなものだと捉えさせず、たいしたものではないことを認識させるようにしてください。
少しずつ離れる練習をする
愛犬に、ひとりで留守番ができる自信をつけさせると良いです。
短い時間から飼い主さんと離れる練習をします。飼い主さんが在宅しているときに、愛犬がひとりでいる状況を作ることから始めてください。
ベランダなどの、姿は見えても愛犬が立ち入れない場所などで行うのがおすすめです。少しずつ時間と距離を延ばすことで、愛犬に飼い主さんと離れることを慣れさせていきましょう。
社会化を養う
子犬のうちから、社会化を養っておくことは、分離不安症に有効な対策です。
様々な人や物に触れさせることで、不安や恐怖を抱きにくくなり、環境に慣れやすくなります。周囲の変化や刺激に過剰に反応せず、安心して暮らせることで、問題行動を予防できます。
トレーナーや獣医師さんに相談
どんな対策をしても効果が見られないとき、むしろ症状が悪化していると感じるときは、トレーナーやかかりつけの獣医師さんに相談しましょう。
行動学に基づいたトレーニングで解決してくれるかもしれませんし、病気が原因となっている場合は、治療することで改善するかもしれません。
分離不安症と間違われやすい病気
分離不安症とよく似た症状の病気もあります。
甲状腺機能低下症や神経疾患、脳腫瘍などの病気がきっかけで、分離不安症のような症状が見られることがあります。この場合は、尿失禁や尿路感染症、腎不全などと併発していることが多いです。
この他にも、高齢による括約筋の低下、膀胱結石、糖尿病などの病気でも、尿失禁をすることがあります。
また、頻尿や頻便となる薬もあるため、愛犬が服薬中の薬がある場合は、副作用を確かめた方が良いです。
心ではなく、体の病気が原因の場合もあるため、気になる症状がある場合は、獣医師さんに相談してみることをおすすめします。
分離不安症になりやすい犬の特徴
分離不安症は、どの犬種でも発症します。以下のような特徴の犬は、分離不安症になりやすいので、注意しましょう。
甘えん坊で寂しがり屋の犬
元々の性格に起因。トイプードルは分離不安になりやすい。
過去にトラウマがある犬
保護犬に多く、また捨てられるのではという恐怖がある。
過剰な愛情を受けている犬
必要以上に干渉されて、ひとりでいるのが難しくなる。
厳しくしつけられた犬
飼い主さんの指示がないと動けなくなってしまう。
まとめ
分離不安症は、飼い主さんと離れる不安やトラウマなどが原因で、問題行動を起こす状態です。
環境変化や飼い主さんの接し方も要因となります。愛犬と程よい距離を保ちながら、徐々にひとりでいることに慣れさせることも大切です。
愛犬と一緒に遊んでコミュニケーションを取ることは、愛犬との信頼を深め、不安な気持ちを解消することができます。
愛犬が落ち着いた気持ちで日々を過ごせるように、様子をよく観察しつつ、心のケアとサポートをしていきましょう。
犬の家&猫の里 編集部
犬の家&猫の里は、ワンちゃんネコちゃん専門のペットショップです。
動物病院やトリミング施設を併設した店舗、ペットホテルの運営など、
飼い主さまと大切なペットを末永くサポートさせて頂きます。
日々ワンちゃんネコちゃんに対する知識レベル向上に励み、みなさまに
お役立ち情報をお届けします。
注目のワンちゃん、ネコちゃん
その他の記事