大昔から群れを単位に協力して狩りをしてきたワンちゃんは、社会性が高く気持ちを仲間に伝える豊富な手段を持っています。ワンちゃんの仕草から気持ちを汲み取り、より良い関係を築いていきましょう。

「尻尾を振っていても機嫌がいいとは限らないんだよ！」

ワンちゃんが尻尾を振るのは機嫌が良いときだけではありません。緊張しているときや攻撃的な気持ちになっているときにも尻尾を振ります。

神経質で不安な気持ちのワンちゃんは緊張して勢いなく振りますし、威嚇しているときは高い位置で小刻みに速く振ります。
「尻尾を振っているから機嫌がいいのだ」と思ってワンちゃんに不用意に近づいてしまうと、思わぬ事故につながることもありますので、充分に注意をしましょう。ワンちゃんの心的な状況をみるときには、シッポの状態だけではなくワンちゃんの様子を総合的に判断することが大切です。

「カーミングシグナルって何だろう？」

ワンちゃんは緊張状態を緩和し、争いや危機を回避しようとするボディーランゲージを持つと考えられており、これをカーミングシグナルと呼びます。

カーミングシグナルには、ワンちゃん自身の不安やストレスを放出させ、落ち着かせようとする働きもあると考えられています。

例としては、「そっぽを向く」「視線を逸らす」「鼻を持ち上げる」「カーブを描いて歩く」「あくびをする」、「歯をカチカチと鳴らす」などが挙げられます。飼い主さんに叱られてあくびをしたワンちゃんを見て、「この子、態度が悪いわ」と思ってしまいそうになりますが、「お母さん、よく分かったから、もう落ち着いてね」とワンちゃんは伝えているのかもしれませんね。

「視線で力関係を表すんだ！」

地位の高いワンちゃんは相手を凝視し、劣位のワンちゃんは支配性の高いワンちゃんより先に視線をそらします。
短時間に交わすこの視線のやり取りにより、ワンちゃん同士の力関係が決定します。ワンちゃんは高い社会性を持ち、「相手が降参したら闘いは終わり！」という具合になるべく争いを避けようとしますが、この視線による優劣の決定も無意味な争いを避けることに役立っているのかもしれませんね。

「匂いはとっても役にたつんだ！」

匂いは長い間環境に残ることから、見えない相手に対する優れた情報交換の道具となります。
ワンちゃんの嗅覚は非常に優れており、匂いはさまざまな情報交換に用いられています。

・男の子のワンちゃんがよくする行動パターンの中に、片足をあげてオシッコをするという行動があります。
オオカミの世界ではもっぱら地位の高いオスにこの行動が見られることから、ワンちゃん同士の階級や縄張りを知らせるための手段と考えられています。

・男の子のワンちゃんは女の子のワンちゃんの尿を嗅ぐだけで、そのワンちゃんが発情中かどうかを確認することができるといわれています。

・肛門嚢からの排出物も個体や縄張りの識別に利用されていると考えられています。過剰な恐怖やストレスを感じた時にもこの分泌液を排出するといわれています。

・ワンちゃんの身体全体を包む体臭も情報交換手段の一つですが、ワンちゃんの匂いを持続的に分泌させる皮脂腺は、頭周辺、しっぽ周辺、会陰部に密集していています。このため、2頭のワンちゃんが初めて会うときなど、お互いを確認するときに、これらの部分を嗅ぎあう様子がよくみられます。

情報提供：アニコム損害保険株式会社　CRカウンセリングチーム