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猫が床やカーペットをなめる理由は?注意が必要なケースも?
猫が床やカーペットをなめているのを見かけることがありますよね。あまり熱心になめる様子に心配になる飼い主さんもいるのではないでしょうか。猫がなめるのは本能的な習性によるものですが、場合によっては注意が必要なこともあります。
今回は、猫がなめる理由や対策方法について、解説していきます。なめる理由を知り、できる対策を立てることで、愛猫が安心できる暮らしをサポートしていきましょう。
猫がものをなめる理由は?
なぜ猫はものをなめてしまうのでしょうか。その理由は猫の習性である「グルーミング」と呼ばれる行為に関係しています。
グルーミング
猫は日常的に自身をなめて毛づくろいをします。毛づくろいは、グルーミングと呼ばれる本能的な行為であり、猫にとって必要なものです。猫がものをなめてしまう理由も、猫の持っている習性によるものだといえます。
猫はもともと狩りをして獲物をしとめる動物です。その習性から、獲物に気づかれないよう自分の匂いを消すために、グルーミングをしていたとされています。
狩りを必要としない家猫でも、体を清潔にしたり、体温を調節したりと、グルーミングは健康に生活するために欠かせません。
グルーミング行為は、猫同士でも行います。お互いに体をなめあうことで、信頼関係を築いていくのです。猫にとってのグルーミングは、大切なコミュニケーション手段や愛情表現であり、信頼の証だといえます。
猫は床にゴロンゴロンと転がり、自分のにおいをつけたあとに、つけたにおいをなめることがありますが、これも縄張り意識が強い猫の習性による行動です。
他にもグルーミングの延長行動として、舌触りが良いビニール袋を好んでなめる猫もいます。
猫が床やカーペットをなめる理由
猫がつるつるしたフローリングやごわごわしたカーペットをなめるのは、舌触りの良さも要素のひとつですが、その他にもいくつか理由があります。猫の様子を観察し、何が原因なのかを考えることで、改善するための対策を立てることができます。
食べものをなめている
猫がなめる理由として、床やカーペットに落ちた食べ物のカスをなめていることが考えられます。
家の中でもキッチンや居間、ダイニングなどの食品を扱う場所は、気がつかないうちにこぼした食べ物や飲み物が、床やカーペットについていることが少なくありません。
ごく少量のにおいもかぎ分ける猫は、食べ物のにおいが残っている部分をなめることがあります。カーペットは染みついたにおいが残りやすく、猫がなめる要因となるのです。
この場合は、猫自身に問題があるわけではないため、過剰に心配することはありません。
しかし、誤って食べると猫の体に害のあるものもありますので、注意しましょう。
ミネラル不足
ミネラルは猫にとっても必要な栄養素ですが、体のミネラルが不足すると、本能的に床をなめることがあります。玄関のたたきやコンクリートをペロペロとなめているときは、愛猫の様子に注意してください。
普段食べているエサ以外の石や砂、コンクリートなどには、鉄分やミネラルが含まれており、それらを無意識に補おうとしているのです。
特に玄関には、飼い主さんが外から持ち込んだ砂や石が落ちています。もしも猫がなめていたら、ミネラル不足に陥っているかもしれません。普段の食事などを見直してみましょう。
不安やストレス
猫はデリケートな動物で、環境の変化にも敏感です。不安やストレスを感じると、冷静さを取り戻すための転移行動として、床などをなめることがあります。
ストレスを溜めやすい猫もいるので、上手にストレスを発散させてあげることも必要です。また、引っ越しや部屋の模様替え、赤ちゃんの誕生など、環境や家族の変化は、愛猫にとってストレスになります。
愛猫が安心して過ごせる環境作りも大切です。環境を変えるときは、愛猫の寝床やいつもいる場所はできるだけ手を加えずに、一人でゆっくりと過ごせる場所を作ると良いでしょう。
認知症
高齢の猫で床をなめている行動が見られたら、認知症が原因かもしれません。
認知症の場合、床をなめる以外にも、気になる行動や症状が見られます。たとえば、大きな声で鳴く、動作が鈍くなる、トイレ以外の場所で粗相するなどといったことです。
愛猫にいつもと違う様子がある場合は、動物病院で認知症の検査を受けることをおすすめします。認知症自体を治すことはできませんが、進行を遅らせることはできます。
認知症が原因の行動は、無理にやめさせないことも大切です。トレーニングすることや叱ることは、愛猫に負担をかけることになり、かえってストレスを与えます。認知症が悪化することもあるため、そっと見守ってあげましょう。
認知症は早めに対応することがポイントです。認知症の猫への対応や暮らし方については、動物病院で相談してみてください。
注意したいウールサッキングとは?
ウールサッキングとは、ウールは「羊毛」、サッキングは「しゃぶる」という意味で、羊毛製品をしゃぶる行動のことをいいます。
カーペットやマット類といった布や布製品を執拗になめ続けて、食べてしまうこともあるため、問題視されている猫の行動のひとつです。
ウールサッキングは、母猫の母乳をもらう仕草と重なる部分があります。幼い頃に母親に甘えたときの安心感や幸福感を味わっているのかもしれません。
いずれにしても、不安やストレスに対する代替行為であるため、愛猫への接し方や過ごす環境に問題はないか、確認してみましょう。
エスカレートして布製品をかじって食べてしまうと、腸閉塞を引き起こすこともあります。問題の根源をつきとめ、できるだけ早めに対処するようにしましょう。
猫が床やカーペットをなめてしまう場合の対策方法
床やカーペットをなめるのは、猫の本能的な行動のため、止めさせることは難しいです。ですが、飼い主さんができる対策を実践することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
こまめな掃除
愛猫が床をなめても安全なように、こまめな掃除を心がけると良いでしょう。
掃除をしているつもりでも、生活スペースには見えないほこりやゴミが落ちているものです。床をなめる猫は、これらのほこりやゴミを一緒に食べてしまうことになります。
掃除をしてできるだけ綺麗な状態を保つことが大切です。万が一猫がなめたとしても、過剰な心配をせずに済みます。
掃除をする際には、ペットがなめても問題がない安全な洗剤を使うようにしましょう。
なめてしまいそうなものを置かない
なめてしまいそうなものをできるだけ排除する対策方法もあります。カーペットをしいた部屋には出入りさせないのもひとつの手段でしょう。
しかし、カーペットには利点もあり、爪とぎやクッションの役割を果たします。ストレスが原因でなめている場合は、猫が発散できなくなり、別の問題行動を引き起こすことがあります。
愛猫がなめているものを除去するだけでなく、ストレスの原因となっていることを取り除いてあげることも必要です。
できるだけ飼い主さんが愛猫との時間を作り、遊んであげるなどして解消してあげましょう。
食事の見直し
普段の食事で満足できるように、食生活を見直すことも有効です。
食事量や回数が足りておらず、栄養不足であることも考えられます。必要な栄養素やバランスは、個々で異なります。年齢や体格、体質に適したフードを選ぶようにしましょう。また布製品の代わりに、猫がかじっても良い猫草などを購入し、与えてみるのもおすすめです。
満足した食生活に改善することは、なめる行動を減らすだけでなく、健康管理においても重要なことです。
ただし、きちんと消化吸収されていないために、栄養不足に陥っている場合もあります。内分泌器官に何らかの疾患がある可能性もありますので、できるだけ早めに動物病院で診てもらってください。
獣医師に相談
なめてしまう原因が分からない、どんな対処をしても治らないという場合は、獣医師さんに相談してみると良いでしょう。
猫も性格に違いがあり、なめる理由もそれぞれ異なるものです。悩んで不安になっているよりも、専門家に説明すれば、解決の糸口を一緒に探してもらえるかもしれません。
些細なことでも、気になることや心配なことがあれば、問題が小さなうちに解決しておくようにするようにしましょう。
まとめ
猫がなめる行動は、グルーミングと呼ばれる本能的な行動です。
床やカーペットをなめるのは、その延長行動でもあるため、止めさせることは難しいかもしれません。猫が床やカーペットをなめるのは、食べ物をなめている、ミネラル不足、不安やストレス、認知症など、様々な理由があります。まずは当てはまる原因がないかチェックしてみましょう。
中には、ストレスに起因するウールサッキングのような問題行動でもあるため、注意が必要です。
まずは、こまめに掃除をする、食事を見直すなど、飼い主さんができる対策をしてみましょう。なめる原因が分からない、対処しても効果が見られないという場合は、獣医師さんに相談してみてください。
愛猫のきもちを理解し、無理に行動を制限しようとせず、適切な対処をしていくことが大切です。愛猫との暮らしを安全で快適なものにするためにも、できることを実践していきましょう。
犬の家&猫の里 編集部
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